こころ

木の花ファミリーは特定の思想信条や宗教を背景とせず独自に創立され、現在も自立した運営を保っている共同体です。

木の花ファミリーは農業を基盤とした生活共同体ですが、その核となるのは、私たちが生かされているこの宇宙や大自然の仕組みにならった精神性です。

「畑を耕す前に、こころを耕せ」

木の花ファミリーには、創立以来の暮らしの中で生み出されてきたいくつかの「合言葉」があります。中でも、「畑を耕す前に、こころを耕せ」という言葉は代表的なものです。私たちは「こころを耕すこと」、すなわち精神性を向上させることがもっとも大切なことであり、他の物質的な事柄はすべてそれに付随してくるものであると考えています。

聖書に「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる(マタイ6章33節)」という言葉がありますが、私たちの実践はこの精神と一致しています。

「見通しは立てるが、計画は立てない」

創立当初から、ファミリーは明文化された基本理念や規則を持たずに運営を続けてきました。一切の明確な計画を持たずに、ただ「この歩みの先に大切なことが成し遂げられる」という意志のもとで、試行錯誤して学びながら、自然の流れに導かれた暮らしを創り上げてきました。

社会生活を営む中では、さまざまな計画を立てる必要があります。私たちも、たとえば農業の現場で年間の栽培計画を立てたり、人数の増加にともなって新しい建物を設計したりしながら暮らしています。

しかし、私たちはこの世界の仕組みの中で生かされている存在です。自らの思いを優先し、その実現を幸福としたとき、私たちを生かしている仕組みに沿った暮らしはできなくなります。

いのちはその本質として、互いにつながり、活かし合って、ただひとつの宇宙を創りあげています。それが、この世界を創造し、ひとつに束ねている意志のあらわれであり、その意志が純粋に表されているのが、大自然の仕組みです。その仕組みにもとづいた生活は、自らが思い描いて実現する暮らしではありません。この世界を創った意志に寄りそい、すべてを委ねて、初めて実現する暮らしなのです。

心を耕す「大人ミーティング」

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ある日の大人ミーティングにて

ファミリーでは毎晩、夕食後に大人メンバー全員が集う「大人ミーティング」で一日を締めくくります。創立以来、文字通りひと晩も欠かさずに続けられてきたこのミーティングこそ、精神性を柱とするコミュニティの心臓部と言える営みです。

大人ミーティングでは全体の運営に関わる事柄の決議を行ったり、業務上の調整をしたり、しますが、私たちが最も大切にしているのが「心のシェア」と呼ばれる取り組みです。

共同生活の中では、日々、さまざまな出来事が起きます。その出来事を通じて浮かび上がってきたメンバーの心の動きを、大人ミーティングで全体に共有していくのです。そのときに私たちが多くの意識を注ぐのは、問題事といわれる出来事です。それは、問題事がその奥に大切な学びのメッセージを携えて私たちの前に現れるものだからです。

たとえば、自分と誰かとの間にトラブルが発生した場合、普通はどうしても相手を責めてしまいがちです。しかし、私たちはお互いに相手の問題は相手に任せ、それぞれが自分の側の問題を率直に振り返ることを大切にしています。また、何かのミスやトラブルが起きた場合も、自分の外側の要因に責任を転嫁せず、関わった人がそれぞれ率直に自分自身の心を振り返るよう心がけています。

すべての現象は、心が顕在化したもの。だからこそ、現象を通じて自らの心を見つめ、変化させていくことができるのです。ファミリーで「心磨き」と表現されるこの学びこそ、全体でもっとも大切に実践されている事柄です。これによって、自分自身や周囲の人々、そして社会に不調和をもたらすものを手放していくことができます。そうすれば、問題事が解決されるだけでなく、同じ問題事が起きなくなり、全体の調和も高まっていくのです。

ファミリー前史

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ファミリー草創期のスナップ

木の花ファミリーの前史は、創立者の「いさどん」こと古田偉佐美に訪れた霊的な出会いから始まります。

愛知県で25歳から建築内装業を自営していたいさどんは、30歳の頃、突然、霊的な存在からメッセージが降りてくる体験をするようになりました。幼少の頃からご先祖様や両親を大切にする感受性を持っていたものの、特別な宗教教育を受けたこともなく、人並みに社会的な成功を目指してもいたいさどんは、そのメッセージの尊さと自らの心とのギャップに悩み、苦しみました。しかし、やがて「40歳になったら仕事を辞めて、心の道に入ろう」という決意を固めたのでした。

霊的な体験を経て人の心が見えるようになったいさどんは、仕事のかたわら、多くの人々の人生相談に乗るようになりました。そんな中で、いさどんを中心として心を学ぶ仲間のグループが形成されていったのです。

40歳を期に、いさどんはかねてからの予告通りに事業を整理し、2年間の準備期間ののち、19人の仲間たちと共に富士山の麓へ移住しました。こうして創立されたのが「木の花農園」です。

参考資料

ファミリーの精神性について深く知りたい方は、以下の資料が参考になります。