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| 木の花のたより29章 |
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子どもたちが通う上野小学校の3年生が、木の花農園で授業を受けました。普段はみんなで集ってごはんを食べたり、話をする部屋が教室に早変わり。いつもここでふざけ合っている3年生の翔太と大和も今日は神妙な顔で聞いています。先生はいさどんです。「お米健康大作戦」と名付けて子どもたちにわかりやすい様に話しました。「お米の事を教えてもらってから健康になろうという気持がふえました」「これからもいろいろ調べて、お米博士になりたいです」「田んぼの水は稲のおふとんだという事に興味を持ちました」など生徒たちから手紙をもらいました。 去年の10月にやって来たきょんちゃんは、仕事も長続きせず、心の晴れない毎日を送っていましたが、農業雑誌で木の花農園を見つけ、「行くだけ行ってみよう」と、心配や緊張がわいて来る気持に言い聞かせながら訪ねて来ました。20才の頃からいやな事や不安な心をお酒が消してくれる事を覚え、10年間、アルコール依存でしたがここに来たその日からそれは卒業してしまいました。お酒でごまかす事よりも、自分の心をしっかり見て、自分を変えていく事が重要だと気がついたのです。2ヶ月経って、家の用事をする為に帰った3泊4日の中で、久しぶりに訪ねた友人は、幼い子どもの前で酔いつぶれる母親でした。それは少し前の自分を見る様で、心が痛みました。お母さんにはここでのたくさん話し、帰る時には、今まで迷惑をかけた事をあやまり、「長い間お世話になりました。」と嫁ぐ娘の様に言いました。お母さんは喜んで送り出してくれたそうです。これできょんちゃんは目出度く親元を巣立って新しい仲間の船に乗り込みました。 私たちはいろいろな人との出会いをいただきますが、こんな出会いもありました。彼はインターネットにのめりこむあまり、仕事もできず、ひきこもりになっていました。彼のところに集団自殺の誘いの手紙と薬が送られて来たのを知った家族が相談に来ました。私たちは悠長にしている場合ではないと判断し、すぐに警察に連絡を取りましたが、2日後に、ニュースで伝えられた集団自殺の4人の内の1人になっていました。「みんなで死ねば世間を驚かせる事ができる」と言う誘いの手紙は、17才の女子高校生からでした。皮肉なことに、死ぬのが唯一の希望になってしまったのでしょうか。就職活動をするからと言う理由で家を出る時、「帰って来たら、木の花にも行って、自分を変えるからな」と言った、その時の希望に満ちた明るさに「もしや」といやな予感が走ったというそのうしろ姿が最後になってしまいました。今度の事を子ども達にも話しました。いつもにぎやかなのに、その時はしーんとして、言葉がありませんでした。私たちも相談を受けてこんなに何もできずに終わってしまった事はありませんでした。「ネット集団自殺」「ネット心中」という、そんな事がーと言う出来事が身近で起きてしまいました。インターネットは色々な調べ事に役立つ便利な道具として私たちも使います。でも、一日中その画面を見つめていても写し出されない大切なものがある事を知る為に、人は「本物」や「真実」を求めて生きようとしなければならないと思います。この出来事を通して、社会の病んだ心やこれからの人の心のあり方を思ったのでした。 先回の夏のおたよりの書き出しに『青田一面に吹いた「通り風」が教えてくれました。その風は稲の匂い、その風の名前は「みのり」だと。』とあるのは、実はこんな訳がありました。その風は実りゆく稲の命を感じる息の様でもありました。その同じ頃、木の花で新しい命が誕生し、その子の名前は「美乃利」と名付けられ、それを祝福して風の名前にしたのです。母親は歌の活動をしている美雅ちゃんで去年の春から木の花の住人として、一緒に生活しています。たくさんの出来事があり、おたよりには詳しく書ききれないでいますが、美雅ちゃんが居るという事は、そこにいつも歌があるという事なのです。それは、みんなを幸せにしてくれます。彼女が作った「ウェルカム・トゥ・木の花ファミリー」は先回のおたよりで紹介しましたが、それに続いて、「みのりの風」もできました。とてもさわやかな歌です。音楽活動はここでの生活と共にあり、みんなと農作業に出かける毎日です。いも堀りの時、「おいもが土の中で肩を寄せ合っていたよ」と言い、「これからは野菜の歌を作ろうかな」と話す美雅ちゃん。土にふれ、仲間と一緒に働く中から歌が生まれるのは、すばらしい事だと思います。 みのりちゃんは、みんなに愛されて、すくすくと育っています。 2005年、新しい年にみなさんの心にも「みのりの風」が吹きますように。 |