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| 木の花のたより32章 |
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新年明けましておめでとうございます。こちらは富士山の頂の積雪を見る他には雪はありませんが、各地では何年ぶりかの大雪で、大変な所もあるそうですね。みなさんお元気ですか。 大きな自然の力に人は弱いものですが、100万分の1ミリという目に見えないウイルスや細菌などによる様々な疫病にも人は襲われます。近年の鳥インフルエンザの流行は養鶏業者たちに打撃を与えました。この時勢にあっては私たちの様な放し飼いで薬を全く使わない育て方は行政の規制も入るのではないかという思いも過ぎりますが先案じはやめて、させていただける内は今まで通り、「木の花養鶏」を続けていこうと思います。私たちは卵と乳製品を食べる菜食者ですので、鶏たちから卵をもらいます。そして、鶏ふんを土に還し、それが健康な土となり、野菜や米となって、生きる糧を与えてくれます。この無駄が無く、生かし合う循環型農業としても、鶏たちはその大きな担い手です。鶏たちの世話をし、鶏たちも奉仕をしてくれるというお互い助け合う間柄なのです。その環境をもっと快適にしようと、四年前、「にわとり小学校」という鶏舎を建て校歌もみんなで作り、今でも時々、子ども達が歌ってくれます。鶏たちはそこで土遊びをし、運動場を駆け回り、のびのびと暮らしています。去年の十二月から古い鶏舎を壊し、にわとり小学校と同じタイプのものに立て替える為に今基礎工事に取りかかっています。もう少しすると、愛知の方から、大工のつねちゃんが来てくれ、先に建てた「にわとり小学校」の時が、そうであった様に、その時期には男手としてちゃんと人が用意されることも有り難く、その人たちは、一君と創志君です。今、心のケアーや、生活の建て直しの為に、共に暮らしています。もう一人は、一月中ごろに、長期農業研修の為にやってくる有君です。鶏たちとの共生に改めて、感謝しながらみんなで協力して作っていこうと思っています。また鶏インフルエンザの発生は、地球の温暖化、森林の伐採、有害物質など、人の行う自然破壊によって、動植物の生態系に異変が起きている事と無縁ではないと説く学者たちもいます。あらゆる病気は人間に警告を与えているのでしょう。それは、ワクチンや新しい薬の開発で、解決されるものではありません。私たちは、農業や、養鶏といった自然と係る生き方を与えていただき、こういう時代だからこそ、一層、この営みを大切にしていきたいと思っています。 先回のおたよりにも紹介しました中学生の黎奈ちゃんは、去年の九月の二学期から、一日も休まずに学校に通っています。中学二年からほとんど、勉強していなかった分を、取り戻しながら、受験に向けて、がんばっています。学校側は、黎奈ちゃんの特技を生かした進路指導をして下さり、私たちは主に、今までの悪い生活態度や癖を治す様に接し、学校と、黎奈ちゃんの家族と、私たちとの三者会談を行いながらここまで来ることができました。卒業までのあと数ヶ月と、高校進学の新しいステップまで、家族の一員として見守っていきたいと思っています。 去年の十一月、憲次君、弘美ちゃん、一才二ヶ月の優子ちゃんの一家が一泊二日で見学にきました。弘美ちゃんはここの生活に興味を持ち、一旦家に帰ってから再び、優子ちゃんとやって来ました。優子ちゃんは、木の花の赤ちゃんたちと一緒に過ごし、弘美ちゃんは農作業で外に出かける毎日です。弘美ちゃんは木の花に来て、水を得た魚の様に生き生きとし仕事も心についても積極的で、初めて会った時の印象とはまるで違うものでした。一方、憲次君は大学時代から、躁鬱病と診断され、会社に入ってからも時々、悪化するということで、弘美ちゃんは、憲次君に木の花で暮しながら治すことを勧めました。憲次君は病院の診断書を会社に提出し、十二月末まで病気療養の為の休暇をもらい、ここでの生活が始まりました。一ヶ月の間にすっかり良くなった憲次君は、卒業にあたり書いた「ケアー卒業論文」の中に「自分は壁に当るとうつ病のせいにして逃げてきた。それは全部自分のせいであった。」と書きました。うつ病を克服した憲次君。心の学びはこれからが始まりですね。 お正月は「第一回、木の花卓球選手権大会」があります。「卓球台があったらいいなあ」とみんなで待ち望んでいたのですが、去年の十一月、近くにある青木平の「里山まつり」のバザーで卓球台は五百円、道具は百円で譲ってもらいました。みんなは大喜びでさっそくかまど小屋の脇に据え付けられ、それからというものはお昼休みも、夕方作業から帰ってきても、去年の年末のたくさんのお餅つきの合間にも・・・・と、子供も大人も楽しそうですが、かまど小屋のとなりの住人の犬の「ころわん」には、このにぎやかさが、ちょっと迷惑かなあという気がしていますが、そこは大目に見て下さいね。この間は、初めて来たお客様もいつの間にか加わり、すっかり和んだ気分になっていました。外国の来客者も多い中、言葉は通じなくても心が通う「世界有効」にもきっと役立つでしょう。日本でおなじみの「ピンポン」はラケットで打った時の音が「ピン」、台に弾んだ時の音が「ポン」と聞こえるところから名前がついたそうですが、その「ピンポンピンポン」という軽やかな音に重なってみんなのにぎやかな「オー」とか「ワー」とかの歓声と笑い声に、600円でこんなに楽しんで、満足していることに「安上がりな人たち」と自笑していますが、何はともあれ、幸せなことです。 では、今年も富士山の麓より、みなさんの健康と、平和で安穏なる幸せな世が訪れんことをお祈りしています。 平成十八年 元旦 |