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刈り入れ時の、陽射しの中の田んぼは米俵を満載した宝船になります。今年は台風の害もなく、私たちの毎日の糧と、木の花のお米を求める方にお分けできるものがいただけたことを思うと、ありがたいばかりです。みなさんお元気ですか。
春のおたよりのあと、およそ五〇〇人以上の来客者の方を迎え見送った夏も終りました。国際自然農法センター、保健センターOB会、富士宮ボーイスカウト五団カブ隊、磐田ボーイスカウト十一団、学校の教育の一環としての夏休み職業体験の富士宮市立富士根南中学校、静岡県立富士宮西高等学校の生徒たち、毎年恒例の外国の人たちとの交流会、有機農業実践講座の勉強会、大型バス三台で来られた山梨県富士吉田市食生活改善推進委員会の方など、グループや、団体の方が多く、来園の目的や予定時間に合わせ、農作業の体験や、見学、又、「木の花の農とくらし」をスライドで紹介しながらのお話の時間、農園で採れた食材を使った自然食を食べていただいたり、コンサートをするときもあります。木の花農園は家族の生活スタイルの延長にありますので多人数の団体の方をお迎えするには対応に限りがある事を理解してもらいながら、いき届かないこともありますが、みなさんの「来て良かった」という声にこちらもうれしい思いをさせていただきます。近年は食育運動がさかんになり、その方面の市の事業や取り組みにも協力させていただいたり、講演の依頼を受けることも多くなりました。食に関する多種多様の情報の中で、私たちは農に携わり、土に触れる実践の中から、食べものの元である土の大切さ、「食の健康は土の健康」についてお話しし、そして、作物を育てるのも、料理を作るのも、そこに愛があるようにと思っています。愛以上の栄養も薬効も、かくし味もないと思うのです。
七月二十三日、ビッグバラエティー(テレビ東京)という番組の中の「自給自足物語」の中で、二十分木の花が映されました。テレビ制作会社の共同テレビのスタッフの方によって、三ヶ月に渡り、打ち合わせや、取材、撮影があり、この番組担当の斉藤さんはディレクターとして経験を積まれている方ですが、「一体、木の花農園の考え方をどこまで伝えられるのか」「誰を主人公にすれば良いのか」「個人がそれぞれに抱く思いをどこまで伝えられるのか」「限られた時間で日々の暮らしがどこまで紹介できるのか」と、とても悩んだと。そして、結果として伝えられなかったことを恐縮に思われたお手紙を下さいました。私たちはスタッフのみなさんの一生けん命さと、御苦労を労う思いです。又、テレビには映されずに眠っているたくさんのフィルムには番組の中で、インタビュー役をしてくださった三笑亭夢之助さんとの愉快な場面がいっぱいです。それはもう映像として見ることはできませんが、子供たちと一緒にたくさん笑ったたのしい思い出をありがとうございました。放映後いろいろな内容の問い合わせや注文、訪問の依頼などたくさんの反響をいただき、その中で、私たちの生活に加わる仲間も増え、新しい展開が始まっています。今までは、新聞に載せていただく事はありましたが、木の花を紹介したり、宣伝したりするものはなく、縁のあった人たちの口伝えによって知られてきましたが、社会のために木の花の心や生活のあり方を広めていこうと、去年の春、ホームページを開設し、それをまとめた小冊子も作りました。そのホームページを見られた共同テレビのプロデューサーの沢さんからテレビ放映へとつながり、今は、ホームページ、テレビの両方の反響から来園される方が続く毎日です。この動きの中で、共同体(コミュニティー)や、エコビレッジ(お互いが支えあう社会づくり)(環境に負荷のない暮らし方)−エコビレッジ国際会議の資料より抜粋−の研究や本を出版する人、具体的に建設しようとする人たちが集まってきています。外国も見てまわったという人など、その人たちが共通して言われることは、「日本にもあったんだ、ここに−」ということでした。コミュニティの研究で本も出している金ちゃんは「外国には色々なパターンのものがあるが、そのどれにも属さず、木の花独自性と持続性に驚くと話していました。木の花は共同体やエコビレッジを目的に存在するものではなく、私たちの中で、このことをテーマにしたり、話題にして語り合ったことはありませんが、あたり前のこととして毎日、この生活を送り続けてきた私たちの内なる動きと、外の動きが連動して様々な人たちとエコビレッジ構想を描き始めようとしているところです。その一人の義どんは、会社を経営する若い実業家ですが、経済一辺倒の生き方に疑問を感じ、今は新たな方向性を求めています。こうしたそれぞれの個性や能力をお互いに活かし合いながら、社会の為に何かできたらと思っています。又、もう一人、静岡市常葉学園短期大学の社会学博士の巻口勇一郎先生も訪ねてこられ、初めてお会いした時、「教職にありながら、目の前の社会問題には何も手を出すことができないのが申しわけない」と自分のふがい無さを詫びるように自己紹介をされ、その人柄にあっと言う間に親しい縁になり、勇ちゃんと呼ぶことになりました。勇ちゃんは自分にできることを見つけて木の花と関わっていきたいと言われ、その一つが、授業の講師として木の花のいさどんを呼んで生徒や先生に聴講してもらおうというもので、十月二十六日、それは具体化されます。又、これからのライフワークとして、木の花のことを論文として執筆するという思いも話されました。こうして、色々な人との出会いや、出来事に予定表のカレンダーがにぎやかな毎日です。
さて、話は変わって、木の花楽団のアットホームなコンサート曲の中から五曲選び、自主制作のCDを作りました。表のジャケットは先回のおたよりで載せた「愛とお米があればいい」の挿絵、中を開くと、メンバーの農作業姿の写真が並んでいます。曲はボーカルの美雅ちゃんが作ったオリジナルで、「ウェルカムトゥ木の花ファミリー」「とびきりの花」「祝福」「むかしむかし」「みのりの風」です。コンサートで聴かれた方も、はじめての方も、このCDを聴きながら口ずさんでいただけると嬉しいです。御希望の方は一五〇〇円でお分けしていますので、お申し出下さい。
金木犀の花の香りに出会うと、いつもあの頃のことを思い出します。はじめて採れた新米をみんなで目頭を熱くして食べた夕飯、そして、それから間もなくして生まれた女の子に、富士山の主神である「木花咲耶姫」様から名をいただき「咲久夜」と名付けたことを。その咲久夜も、もうすぐ十二才になります。自給自足物語の奥にある木の花物語−その行方は私たちにもわかりません。ただ、仲間と共にいただきものばかりのこの道を迷うことなく行くだけです。
では、富士山の麓より、みなさんの健康と、平和で安穏なる幸せな日が訪れんことをお祈りしています。
平成十八年十月中旬
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